発達障害があることを理由に勤務先の保育園から退職勧奨を受けたのは不当だとして、福岡市の保育士の女性(39)が園の運営法人を相手取り、約256万円の損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。園側に発達障害への理解がなく、不当な差別を受けたと訴えている。運営法人側は10日にあった第1回口頭弁論で、訴えを退けるよう求めた。
訴状などによると、女性は2018年4月から福岡市内の認可保育園で働き始めた。保育士経験を十数年積んでおり、この園では1歳児クラスの担任として勤務した。
19年10月に発達障害と診断され、20年6月26日に運営法人の代表に伝えた。すると、代表は話し合いの場で「(子どもを預かる仕事は)危険だ」などと発言し、非常勤への転換を提示。女性は翌日にそれを断ると代表から退職を勧められ、女性は6月29日に退職届を提出した。
こうした園の対応について、原告側は「女性は発達障害があるものの、これまで仕事において問題となる行動をとったことはなかった」と主張。「労働者が障害者であることを理由に不当な差別をしてはならない」と定めた障害者雇用促進法に違反する退職勧奨があった、と訴えている。
園は朝日新聞の取材に「お話しすることはありません」と回答。代理人弁護士は「地裁には『原告の請求を棄却する』と求める答弁書を提出した。詳細は今後主張する」と話した。
泣き寝入りになっている人のためにも 提訴決意
女性は保育士を10年以上続けてきた。発達障害と診断されたのは2年前。長女の診療に訪れた病院で、主治医の話にところどころ理解が追いつかなかったため受診を勧められたのがきっかけだった。
職員のミーティングなどで多…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル